生活習慣病
高血圧
血圧が高いことにより血管、特に動脈に高い圧力がかかり、動脈の壁を傷つけていきます。
血管のしなやかさが年齢とともに低下していくため、根本的な高血圧の治療法はなく、減塩・減量・禁煙など生活習慣の改善に取り組みなが必要になります。
またこれらの取り組みでも不十分な場合には、投薬のご相談をすることがあります。
自覚症状がなくとも、一日に10万回収縮する心臓から伝わる高い血圧によって、血圧を受け止める血管は『動脈硬化』を起こし、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・大動脈瘤・大動脈解離などを起こします。心臓自体にも大きな負担がかかるため、心臓肥大症・心不全などの原因にもなります。そして、血管のかたまりである腎臓にも高い血圧が直接影響し、慢性腎臓病にも関係します。
日本人の高血圧の約90%が『本態性高血圧症』で、遺伝や食塩の過剰摂取、肥満、ストレスなど様々な要因が組み合わさって起こります。
家庭血圧で135/85mmHg以上ある場合、高血圧と診断されます。診察室では不要な緊張も加わることもあり、高血圧の判定には家庭血圧の値のほうが優先して用いられます。
治療の基本は、減塩、禁煙、適度な運動、肥満の改善、十分な睡眠などの生活習慣を正すことになります。
それでも薬による降圧治療が必要となる場合が多いです。薬を飲み始めたら止めれないから飲みたくないという方もおられますが、確かに薬を止めれる方は少ないです。血管のしなやかさ、動脈硬化は年齢とともに変化します。根本的に若返ることは無理ですが、血圧が高いまま進行して血管が破綻してからでは遅いのです。生活習慣を省みることは必要ですが、期待通りに効果が出ない事が多いのも事実です。そうなると血管に対するダメージは結果的に高血圧を放置してしまっていることと同じことになってしまいます。『循環器専門医』として、必要なタイミングでその方々の病態に合わせたお薬を選択させて頂きます。健康寿命の延伸のために家庭血圧を測定しましょう。
コレステロール
LDL(悪玉)コレステロールは心臓の冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)と重大な関連性があります。
またHDL(善玉)コレステロールの値も重要となります。
高血圧や糖尿病、心筋梗塞の既往歴がある場合は、治療管理目標が変わってきます。
心筋梗塞の予防的観点から、循環器専門医による治療を相談しながら行ってまいります。
健常な人では、からだ全体のコレステロールの量は、肝臓で作られる量、小腸から吸収される量、からだの中で利用される量、そしてからだの外に排泄される量のバランスが適切にとられていて、一定に保たれています。
これらの調節の仕組みがうまくいかなくなってバランスが崩れると、血液中の『LDL(悪玉)コレステロール』が増えてしまいます。LDLコレステロールは血管に沈着し、『動脈硬化』を引き起こします。これまでの数多くの研究から、LDLコレステロール値が高いと、動脈硬化を起こし、狭心症や心筋梗塞を発症しやすくなることが証明されています。
『LDL(悪玉)コレステロール』は心臓の冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)と重大な関連性があり、日本人を対象とした研究では、LDLコレステロールが140mg/dlを超えると冠動脈疾患が2.8倍になったとの報告もあります。診断基準は140mg/dl以上ですが、『HDL(善玉)コレステロール』の値も重要となり、悪玉と善玉の比率が重視されております。LDLコレステロール値が正常でも、HDLコレステロール値が低いと心筋梗塞の確率が増すため、動脈硬化の予防には悪玉と善玉のバランスを示す“L/H比”が参考となります。L/H比が2.5以上だと動脈硬化リスクが上昇するため、他の病気がない場合は2.0以下に、高血圧や糖尿病、また既に心筋梗塞など動脈硬化の病気がある場合は1.5以下を目標とします。
コレステロールの値をみるだけでなく、他の危険因子や既にある動脈硬化の状態をみて治療することが大切です。
食事は基本的に、食物繊維の多い食品やn-3系多価不飽和脂肪酸の多い青背の魚、n-6系多価不飽和脂肪酸の多い大豆を増やし、いわゆる日本食(魚、大豆、野菜、未精製穀類、海藻を十分に、乳、果物、卵を適量に、肉の脂身、バター、砂糖・果糖を控える。ただし減塩で食べる)を意識しましょう。
コレステロールを減らすことで、心筋梗塞が起こるのを防いだり、死亡率を減らしたりできることが証明されています。したがって、食事療法をして血液中のコレステロール値が目安とされている値まで低くならない場合は、食事療法に加えて薬を使うことが基本になります。
糖尿病
血糖値が慢性的に高いために、様々な血管の合併症を引き起こす病気を引き起こします。
食事により血糖値が上昇することで、膵臓から"インスリン"というホルモンが分泌され血糖値を調整します。
糖尿病では"インスリン"の出る量が減少したり、"インスリン"の働きが弱くなるために高い血糖値が続いてしまい、全身の血管や臓器に障害を引き起こします。
腎不全・網膜症・末梢神経障害、また心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などの重大な病気の原因となります。
【1型糖尿病】
1型糖尿病では膵臓のランゲルハンス島に炎症がおこりインスリンを作る膵β細胞が壊される結果、インスリンの量が足りなくなり、ブドウ糖が細胞に取り込まれなくなることで血糖値が上がります。1型糖尿病の原因はまだはっきりしていませんが、遺伝因子やウイルス感染などが誘因となり、自己免疫が関与していると考えられています。多くの方で、外からインスリンを注射を必要とするようなインスリン欠乏状態となります。
【2型糖尿病】
2型糖尿病ではインスリンによる血糖低下作用が低下していることや、膵β細胞からのインスリン分泌が不十分なことが関与し、血糖値が上がります。2型糖尿病の原因として、遺伝因子や生活習慣などが関与して発症すると考えられています。2型糖尿病は1型糖尿病よりもゆっくりと進行する場合が多く、治療にインスリンを必要とせず内服薬で治療するケースが多いです。
【糖尿病の治療薬】
内服薬とインスリン注射製剤があります。
・スルホニル尿素(SU)薬
膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを出させるように働きます。
・速効型インスリン分泌促進薬
スルホニル尿素薬と同じように膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを出させるように働きます。
・α-グルコシダーゼ阻害薬
腸内でブドウ糖に分解する酵素の働きを抑え、ブドウ糖の吸収と食後の急激な血糖値の上昇を抑えます。
・ビグアナイド薬
主に肝臓から放出されるブドウ糖の量を少なくして、血糖値が高くなることを抑えます。
・チアゾリジン系薬
筋肉や肝臓などの組織において、インスリンに対する効きをよくすることにより血糖値を下げます。
・DPP-4 阻害薬
膵臓からのインスリン分泌を促進するインクレチンの作用を高めることにより血糖値を下げます。
・SGLT2 阻害薬
腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑えて、尿から糖を出すことで血糖値を下げます。
・GLP-1 受容体作動薬
膵臓からのインスリン分泌を促進するインクレチンと同じ作用を示す薬です。
・インスリン注射製剤
インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。1型糖尿病の患者さんでは、原則的にインスリン注射が必要です。作用時間によって、超速効型/速効型/中間型(混合製剤を含む)/配合溶解型/持効型溶解があります。
